ベラドンナの部屋

アークティック・モンキーズの歌詞を語ります

Fire And The Thud / Arctic Monkeys【和訳】

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炎と奈落。君は興醒めかな? ふと真顔になって、想いを打ち明けてしまったら。 ーFire And The Thud 

 

こんばんは、ベラドンナです。

今日鑑賞するのは、私の大好きなFire And The Thudという歌。3rdアルバム『Humbug』収録曲です。長髪時代のアレックスの物憂げな歌い方もセクシーで良いんです。


Thudは「ドスン」「バタン」のような落ちる時の擬声語ですので、燃え上がったあとに奈落に突き落とされるような感じでしょうか。

この歌に関しては、アレックスは当時の恋人のアレクサ・チャンへのメッセージを込めて歌ったと認めています。本人は「一番正直な気持ちをありのまま書いた歌。まったく大人になれよって感じだよね。あまりに内容が個人的すぎると思って女性ボーカルを入れたんだ。」と自嘲していましたが、恋愛の不安定さや有名人であることへの等身大の苦悩、余裕のなさがヒリヒリと伝わってきます。この頃、NYでの仕事が決まったアレクサを追ってアレックスもNYに移住しています。

二人の間に炎がゆらめいていて、「ふと真顔になって自分のナイーブな思いを打ち明けても、彼女は引かずに受け入れてくれるのかな?」と逡巡している感じ、スピッツの『スカーレット』を連想します。こちらの方がだいぶダークで鬱々としていますが。そして男性のこういう感じ、ベラドンナのまさしくツボです。

好きな人とは見るもの触れるもの全てを共有して、全部さらけ出したい、全部分かり合いたいと思って、すれ違って傷つくのは若き日の全力の恋愛ならではですよね。アレックスの歌詞を読むと、あの頃の記憶がありありと呼び覚まされます。経験すること全てが新情報だった、20代前半のあの頃。

つい長く語りすぎました。それでは歌詞に参りましょう。

You showed me my tomorrow beside a box of matches
君は俺に明日を見せた マッチ箱の傍らで
A welcome threatening stir
歓迎すべき、不吉な揺らぎ
My hopes of being stolen might just ring true
盗まれてしまいたいって俺の願いは本当みたい
Depends who you prefer
君が誰を選ぶのか次第


If it's true you're gonna run away
もし君が逃げようとしてるのが本当なら
Tell me where, I'll meet you there
行き先を教えてよ、会いに行くから

Am I snapping the excitement
興奮に水を差してしまうかな?
If I pack away the laughter and tell you how it feels?
もし俺が笑顔をしまい込んで、どう感じてるかを伝えたら
And does burden come to meet ya
負担に感じてしまうかな?
If I've questions of the feature that rolls on your dream reel?
もしどんな夢を見てるのか尋ねたら


The day after you stole my heart
君が俺の心を盗んでからというもの
Everything I touched told me
触れるもの全てが俺に訴えかけてくるんだ
It would be better shared with you, with you
君と分かち合いたいって

And now you're hiding in my soup
そして今、君は俺のスープに隠れてる
And this book reveals your face
この本が見せてくるのも君の顔
And there's a splashing in my eyelids
瞼の中で水しぶきがあがる
As the concentration continually breaks
集中力は途切れがちになりながら
I did request the mark you cast didn't heal as fast
君がつけた傷跡が早く癒えてしまわぬようにと願った
I hear your voice in silences
静寂の中で君の声が聞こえる
Will the teasing of the fire be followed by the thud?
炎にからかわれた後にはドスンと音がするのかな

In the jostling crowd, you're not allowed to tell the truth
ごった返す人混みの中では、君は真実を語ることを許されない
And the photo booth's a liar
撮影ブースは嘘つき
And there's a sharpened explanation
そこにあるのは取り澄ました弁明
But there's no screaming reason to inquire
でも尋ねてくる理由なんてまるでないんだ
I'd like to poke them in their prying eyes with things
俺は詮索する奴らの目を突いてやりたい
They'd never see if it smacked them in their temples
こめかみにぶつけたくらいじゃ分からないだろうね